麻雀と"効率"
どーもこんにちはかつまたです。
前回ブログを書いてから気づいたら3週間くらい経ってました。びっくり。
正直今期アニメは特別話題にするような作品が少ないので書くことが無かったんですよね。
そして今回も、今期アニメの話ではなく、タイトルの通り麻雀の話です。
10/1に開幕したMリーグですが、現状そこそこ盛り上がっているようですね。僕の周りにも、「欠かさず全試合見ている」とか「Mリーグで初めてプロの対局を見た」という人がちらほらいます。大変喜ばしいと思います。
一方で、これまでより多くの人たちにその打牌が見られるようになったことで、その打牌の良し悪しについて様々な議論が交わされるようになりました。
その議論で少し前にちょっと話題になったのが"牌効率"でした。
牌効率とは、和了形に向かう有効牌の多さを指す言葉です。例えば両面は嵌張より牌効率が良い形、と言えます。
問題になったのは、以下の場面でした。
東4局1本場 供託1 ドラ4s 7巡目
東:茅森P 22300 234p224888m8s チー456s
南:萩原P 33300 5s4p4s6p5m4s
西:高宮P 14800 西(?)1s白5m2p3m
北:多井P 28600 1p1m8m9p1m
(茅森Pは手牌、他3人は捨て牌。静止画で確認したので見づらい部分などがあり、一部間違っているかもしれません。)
この手牌から、茅森Pは5sをツモり、そのままツモ切りしました。
断么で仕掛けているこの手、単純に考えれば、678の3種類が有効牌となる8sより、34567の5種類が有効牌となる5sを残したほうが良いはずです。ドラが4s、またMリーグには赤5sもあるので、受け入れ枚数も打点UP率も8s切りが優位なはず。ではなぜ茅森Pはこの5sをツモ切りしたのでしょうか。
1つには、下家の萩原Pの河にドラが2枚切られていること。自分の副露面子と合わせてドラはすでに3枚見えています。
そして対面の高宮Pが2巡目に1s切り。序盤に切られた牌の筋の456は持たれていることが比較的多く、また河もタンピン系のため、最後の1枚を高宮Pが持っているかもしれません。
さらには上家の多井P。僕の見た静止画では茅森Pが何を鳴いて456sの面子を作ったか分かりませんでしたが、少なくともドラそばの456をこの順目で切り出しています。ということは、556や566からのドラ受け固定をした可能性が考えられます。あるいは445から面子ができ、速くて高い一向聴になっているかもしれません。捨て牌からして染め手だったり、索子の塔子が皆無ということは考えにくいので、やはりドラ周辺を持っていそうです。
こう考えると、5s周辺は既に薄いのでは?と予測できます。
そして2点目。ドラが4sだけに、5s周辺を引いて聴牌したとしても、そうそう和了が期待できる待ちではありません。
①3s引きの嵌4sは山に無さそう。②4s引きなら36sで和了れそうですが、そもそも4sが引けなさそう。③5s引きシャンポンは5sが全部見えており2m2枚と心中は心許ない。④6s引き47sは、やはり4sが無さそうなのでやや不安。⑤7s引き嵌6sも、ドラまたぎの6sはそうそう打たれる牌ではありません。…………
と考えると、
③の場合は、重なりやすさ/和了しやすさともに、場に見えておらず端に近い8s残しが有利、
④の場合は、8sを残した時の6s引きでの7s待ちとほぼ変わらない、
⑤の場合は、8sを残せば69sで6s片和了の形で嵌6sと変わらず、嶺上開花や海底、河底などのチャンスが増えるのでこちらが有利(ただし、今回茅森Pは9sを切っていたのでこの場合はフリテンでした)、となります。
では①と②は、ということになりますが、そもそも4sは山に残っていないという読みが前提にあるので、さほどのロスにならないはずです。
さらに3点目。後々の安全度が違います。
索子にくっついた聴牌以外にも、萬子の224mの部分から聴牌することがあります。例えば…………
①ツモ2mの34m②ツモ3mの25m③ツモ4mの24m④ツモ5mの36m⑤ツモ6mの嵌5m
などです。この場合、聴牌した時には58sの残した方を切ることになるわけですが、2-5-8sの2筋両方に当たる可能性があり、しかもドラまたぎの5sと、5-8sにしか当たらず、また待ちに直接ドラが絡みにくい8sとでは危険度がかなり違います。萩原Pがチャンタ系だった場合だけ8sは少し危ないですが、喰いタンの聴牌するスピードのほうが普通は速いのであまり気にしなくていいでしょう。
最後に4点目、単騎待ちの強さについてです。
萬子にくっついた聴牌形を先程考えましたが、この萬子224mの形から仕掛けて聴牌をすることもあり得ます。2mポン、3mチーなどです。この場合は単騎待ちになります。
234p5(8)s4888m 222m456sチー
2mをポンした場合の牌姿です。ここから5(8)sか4mを切って単騎待ち聴牌。3mチーの場合は残っているのが5(8)sと2mになりますね。
この時の単騎待ち選択で、2mはともかく、5sと4mはどちらもあまり和了れそうにありません。ですが8sはどうでしょう。456sを仕掛けていること、5sをツモ切っていることなどから盲点になりそうです。少なくとも5sや4mよりは和了れそうですよね。
もちろん8mが暗刻なので、とりあえず4mか5sの単騎に取っておいて、くっついたら8mを切って待ち変え、ということもできます。しかしそれではこの手の強味である「和了へのスピード」が殺されることになります。1手先の変化を見るより、いち早く和了しやすい聴牌を組むことが優先でしょう。
……などなど、色々な視点から8s残しのメリットを考えてきましたが、別にかつまたは「だから8s残しが正着」と言うつもりはありません。
そもそも茅森Pが本当にここに書いたことすべてを考えたか分かりませんし、ただ単に間違えただけという可能性ももちろんあります。
かつまた自身、この場面を最初に見た時は8sを切ると思いましたし、ここに挙げたアレコレを考慮しても5s残しが良さそうだと思います。しかし、やっぱり5s残しが正しいと言うつもりもありません。
実際の茅森Pは、5sを残していれば断么ドラドラの2000オールツモ和了だったところを和了逃ししてしまいましたが、こうして色々考えてみると意外に8s残しにもそれなりの理由が見つけられるものだ、という話をしたかったのが今回の記事です。
目に見える枚数、見に見えない枚数、聴牌までの速さと聴牌してからの和了りやすさ、危険度、様々な待ちの想定など、非常に多くの要素があって麻雀というゲームの選択は決まるものです。「牌効率」はその中でも大きなウエイトを占める要素ではありますが、決して盲目的に目先の効率や数字の大きさに従うのが正しいとは限らないことを、頭の片隅において打ちたいですね。
〜P.S.〜
麻雀における「目先の効率や数字」についてもうちょっと掘り下げようと思っていたのですが、長くなってしまったのでまた別の記事にしようと思います。